(1)この4月26日には、鞍馬、貴船に行ってきましたので、今回はこのときのことを記すことにします。今回のこの日に決めたのは、4月上旬(たいがいは6日からとか、10日からとか)にいつも四天王寺で古本市があるのを知っていて、それに行く予定で、それならば26日は大丈夫だろうとし、オーケーしたのですが、その後から四天王寺古本市は4月26日からと通知があって、驚くことになりました(今年からゴールデンウィークに合わせるようにしたみたいです)。日程がバッテングしたのです。
私一人で計画している場合、鞍馬行きを取り止めにすれば良いことなんですが、今回は妻が主体的に宿泊を入れて計画していて、その決定にはつい最近もキャンセルしていたりしていたので、どうすべきか今回は躊躇われたのでした。けっきょく観光を優先し、古本市を後にすることにしたのです。
鞍馬に行くのは今回で2回目ですが、前回は54年前の大学3年のときでした。同じゼミの人二人で10月22日の鞍馬の火祭を見に出かけたのでした。そのときは、聞きしに勝る大群衆で、返りの叡山電車(当時は別の電車名でしたが)は首都圏のラッシュアワー以上の混雑ぶり(30分間立ったままで押し合いへし合い状態)で、その日たまたま認め印を上着のポケットに入れていたのですが、帰ってその認め印を見れば、回りの丸の一部が欠けていました。車内はそれくらいの激闘ぶりでした。
(2)今回の日程としては、鞍馬、貴船を回り、午後2時くらいにホテルに入り、妻はそこでゆっくり、ディナーまで喫茶、休憩し、その間、私は古本中間から聞いた、京都での新しい古本屋など、3軒を回ることにしました。これは上記で記した、日程バッティングへの、私なりの抵抗と言いますか、転んでもただでは起きない、ことを示すものです。
とはいえ、鞍馬、貴船を回るだけで、最深部まで行かずとも、約1万歩以上歩いたのであり、足はガタガタとなり、さらに京都市内の古本屋を3軒回るのですから、古本屋3件目のときは古本を見るよりは、早くホテルに帰りたいと思うようになり、ホテルについたときは2万歩を超えていました。
(3)鞍馬観光はお寺や神社への参拝というよりも、そこに至るまでの登山、山登りといった方が良さそうです。貴船の場合は比較的なだらかなですが、鞍馬の場合、鞍馬から登る場合であろうと、貴船から登る場合であろうと、急な山をじぐざくしながら登って行く感じです。比叡山の場合、山頂付近の三カ所がなだらかな、バスによる、並行的移動ですが、鞍馬の場合、見るべきものが垂直に配置されているので、すべて回って行くと大変です。どれだけ険しいかは「鞍馬山案内」のパンフレットでは何となく分かりますが、一番分かるのは普明殿というケーブル山門駅にある鞍馬山の立体模型です。
そういう険しい山であるので、それだからこそ、仏道あるいは人間の修業にはもってこいの場所であり、ここが霊場とされてきたのでしょう。とはいえ、昨今の国民皆平登山趣味の風潮には抗しがたく、山(寺)の方でも、足の悪い人にも等しくお参りしてもらおう、とケーブルカーを設置しました(何年かは失念)。
こうしたことを受けて、私等二人とも健脚にはほど遠いので、山(寺)の配慮をまじめに受け取り、ケーブルで行き帰りともに利用することにしました。そうすると、まじめに歩けば行ける由岐神社(火祭の主体)には行き当たらないことになりますが、それは仕方ないことです。
こうしたことから言いますと、鞍馬に行くには、足が丈夫な、60歳くらいまでに行った方が良く、それ以降の年齢の場合は、ケーブルカーを利用するとか、鞍馬から貴船まで歩かず、本殿金堂で引き返す、など省エネを工夫した方が良い、と言えます。実際私等はそうしました。
(4)鞍馬へ行くとなると、貴船とセットで行くのが常道です。一般的には、鞍馬から登って、貴船に降りてくるのが正です(山の高低差の関係)が、健脚な人はその逆(反)を行っても良いでしょう。省エネで行く場合、貴船には貴船口からバスで移動し、またバスで貴船口に戻る手があり、それと鞍馬行きを組み合わせれば良いでしょう。実際私等はそうしました。
そのセットの場合、どこで昼食を摂るかという点がありますが、夏に涼しい川床料理を楽しみたい(極めて高額)なら、貴船でということになりますが、軽食にしたいという場合は、鞍馬でということになるでしょう。なぜなら貴船には軽食屋が少ないからです。鞍馬の場合、蕎麦を中心とした軽食屋が10軒ばかりあり、便利です。私等もそうしました。
(5)最後に記さざるをえないことは、鞍馬、貴船という京都の秘境のようなところにも、外国人がわんさかと詰めかけている、ということです。さすがに貴船に来る外国人は鞍馬に比べれば、少数ですが、それでも貴船口と貴船の間のバスには、最低1組の外国人が乗っています。鞍馬の場合は、「わんさか」というのがピッタリで、しかもケーブルに乗るよりは、歩いて山頂を目指しています。私等と同じような高齢者でも。
外国人のほとんどは欧米人です。中には東南アジア人もいますが、いかにも少数派ですし、中国人らしきものはほとんどいません。中国経済崩壊を如実に物語っています。
なぜこのような京都の秘境を、外国人は知っているのでしょうか。それには英文の京都観光案内(あるいは日本観光案内)情報が効を奏しているのでしょう。日本や京都の魅力をSNSやユーチューブで発信している日本愛好家が活躍している結果だ、とも言えます。それに驚くのは、個人的な詳細なプランを持って、2週間とか、1カ月とか、長期の滞在にしている(円安が後押ししている)のも、こうした秘境に足を運ぶことに繋がっているのでしょう。
私がヨーロッパに旅行していたときは、現役時代であり、休みを取るにしても、1週間かせいぜい10日くらいですから、ロンドンなど1カ所に集中するか、多くを回ろうとすれば、効率よくの観点からパック旅行にならざるをえなかったのですが、これら外国人は個人で計画を立てて、好きなところに寄っています。情報をうまく活用していることと、何でも見てやろうという探検欲が旺盛です。こういうところはまさに敵対型文明人のなせる業です。これには日本の治安が良い、ということが加速させています。皆さんも鞍馬と貴船に行かれてはどうでしょうか。